『悔しい。でも楽しい。また行きたい。』
念仏のように唱えながら、東京マラソン前夜の銀座を歩いて帰った土曜日。

いつもお世話になっているフォトグラファーの南雲暁彦さんからお誘いを受けて、銀座三越にある「アートアクアリウム美術館 GINZA」の特別イベント、「PICTURE-RIUM(ピクチャリウム)フォトグラファー南雲氏に学ぶ撮影の極意」に参加してきました。

■アートアクアリウムとは?

江戸文化や寺社建築から着想した和の世界の現代アートの中に光や音、香りの演出を施し、金魚鑑賞するアクアリウム。以前東京・日本橋で毎年の夏の風物詩として限定開催されていたものが、2020年に常設、また2022年5月には銀座三越に移転、リニューアルオープン。

日本橋の頃からめちゃくちゃ気になっていたスポットでしたが、コロナ禍でも混雑して、ゆっくり写真が撮れないイメージが強かったので、今回の企画は2つ返事で参加決定。

何といっても「PICTURE-RIUM」のメリットは、館内貸切で撮影できること、三脚が使用可能こと、そして何より南雲さんのレクチャー付きで質問自由なこと。これはとても貴重な機会です。

いつもなら大勢のお客様でにぎわっている人気展示「竹林七賢」も人を入れずに撮影できます。

 

三脚を立てられれば、スローシャッターであえて金魚の躍動感を出したり、ISOも低感度まで落とせて画質も保てる・・・のはいいことだけど、一枚ごとに時間がかかる(かけたくなる)のが唯一の難点かも。

瞬発力と想像力が試される90分一本勝負

イベントは通常営業終了後の19:00スタート。
入場可能となった18:45からレクチャー開始前まで、すでに戦いは始まっていて、参加者の多くはテストシューティングにいそしんでいました。ギリギリまでスタバでラテとソーセージパイ食べててごめんなさい。
だって、腹が減っては戦h(

まずは南雲さんの作例を見せてもらい、照明の色がコロコロ変わる環境にWBはどうするか、絞りやシャッタースピードの設定や、動きが早い金魚にどうピントを合わせるのかなどを一通りレクチャーを受け、いざ本番。
もちろんスマホでも参加OKなので、その場合の撮影方法も教えてくださいます。

前半はできるだけ引きで空間全体を撮影。貸切で人がいない空間を撮れるチャンスなので、あまり展示物に寄らずに譲り合って撮影しました。

現在は春の企画展示「めっちゃ桜 ~SAKURA Special~」(~4/25)の真っ最中。ライティングがほぼ桜色メインで、室内や水槽の装飾も桜がふんだんにあしらわれています。

桜色のライティングもいいけど、「金魚の滝」には深い青の夜桜風なライティングもよく似合う。
お花見、もうここでよくないか。

ハーフタイムで一度中間講評をはさんで、後半は自由に撮りたいものを撮り、解散前に全体総括するというスケジュールでしたが、必死過ぎて中間講評をやっていたことに全く気がつきませんでした・・・。

巡回スタッフさんが声かけて回ってくれていたらしいですが、金魚灯篭をローアングルで狙うことに熱中しすぎて、暗がりにしゃがみ込む私を誰も見つけられなかったんだと思います。

終了まで2時間(21:00終了)のうち、撮影時間は正味1時間半なので、もはや必死。
予想以上の暗さ、目まぐるしく変わる照明、動きを止めない金魚の激ムズ環境に、ピントなどまったく合う気がしません。まさに「Don’t think. Feeeeeeeeeel!」。

むしろピント合っていない方がよい雰囲気なのではないかと自分に言い聞かせながら・・・
(実際金魚の尾ひれがぶれている方が好き)。

 

私の時間を溶かした提灯リウム

「提灯リウム」は日本の昔ながらの照明である「祭り灯籠」をモチーフにした作品で、金魚が中にいる提灯が連なって祭りの参道を思わせます。

球体が拡大レンズの働きもして、金魚が大きく見えたり、ガラスに周りの照明が反射して、万華鏡のようにキラキラする展示にすっかり心奪われた結果、後半の撮影時間はほとんどの時間をここで費やしたかも。

アートアクアリウム全体で大きく8つの展示エリアがあり、全部をこまめに回って1エリア10分強しかチャレンジできないなら、ここだと絞ったポイントで粘りたかったのです。

中でも一番お気に入りとなった一枚はこちら。

金魚にピントもきてないし、ノイズも乗っちゃってますが、周りの照明や装飾の模様が映りこんで、夢の中を泳ぐようで印象深い一枚となりました。

 

そしてFitbitのアラームが終了5分前を知らせてくれたころ、私の集中力も限界を迎え、明るい所で可愛い金魚をただ見つめて終わりました。

そう、多分こんなうつろな目で↓。(写真はイメージです)

最後の総括後に南雲さんにご挨拶したら、「どこにいたんすか!忍者か!」と言われました。
そうです。私は最大のメリットでもある「南雲さんに質問」すらしていなかったのです。
いや、言わせてもらいますけどね、結構南雲さんを捕まえる競争率激しかったんですからね!

そういえば、最初のレクチャー時に「この緑のシャツを見かけたらいつでも質問してくださいね」とか言ってましたが、こんな色だったんすね。帰る間際に初めてわかりました。だってそれだけ暗かったし。

 

何度行っても全然時間が足りなくて、しかも飽きない問題

実はこのイベント当日を迎える前に、ロケハン兼コソ練のために一度撮影に来ていました。
(以下は「PICTURE-RIUM」当日撮影ではありません)

  

折り紙で折られた金魚をバックに光る巨大水槽の「オリガミリウム」や、華道家・假屋崎省吾氏とのコラボアートの「フラワーリウム」など、もっとじっくり撮りたいエリアは沢山あります。

またマクロレンズで金魚だけみつめて愛でるのもいいでしょう。

尾びれがふわふわ揺らめいている様を見ているのは、極上の癒しです。

そもそもアートアクアリウムを一度で撮り切れるなどとゆめゆめお思いなさらぬように。
この「PICTURE-RIUM」も然り。時間が足りなくて嘆くのではなく、今回南雲さんから教わったいくつものポイント元に、今後幾度となく通っては、四季折々の装飾と気まぐれな金魚たちの舞い踊りを楽しむ第一歩を教えてくれたのですね。

やだ、また新たなライフワーク爆誕か。いくら慣れても、二度と同じ写真は撮れないのだから。恐ろしい・・・。
ここ、安くないんですよ、入場料(笑)。年間パスポートプリーズ!

このイベント、まだ2回チャンスがあります。貸切で撮れる幸せはなかなか味わえないので、写真好き・金魚好き・アート好きな方におススメです!

————————————-

●アートアクアリウムスペシャルフォトイベント PICTURE-RIUM byAkihiko Nagumo 概要

日程:2023年3月11日(土)、2023年3月22日(水)
時間:19:00~21:00(18:45受付)
人数:各回30名限定
料金:5,000円/1名(税込) ※アートアクアリウム美術館への入場料を含む
チケット:アートアクアリウム公式チケットサイトにて完全事前予約制
場所:アートアクアリウム美術館 GINZA (銀座三越 新館9階入口)
詳細は公式サイトにて⇒https://artaquarium.jp/news/detail/20230130519/

————————————-