写真もすごいのに、文章もすごいなんてずるい。
かねてからお世話になっている写真家・小澤忠恭先生が、今年になってAmazon Kindle でフォトエッセイシリーズ「写真する話 大磯便り」を出版しています。
小澤先生は普段からFacebookで、撮影に関することやご自身の生活のことなど多彩な話題を投稿していて、毎回読むのがとても楽しみなんです。
これ、まとめて書籍化すればいいのになぁ、と何回思ったか。(いや、言ったかも)
そしたら、やっと出ました(笑)。
実際のFacebook投稿から加筆修正しての書籍化で、2020年5月末現在で「其の五」まで販売中。
プロの厳しい現場風景を垣間見れたり、撮影機材の詳しい解説もあったり、写真撮影に関心がある人はあまねく面白い内容だということはもちろん、その文章力と洞察力に引きこまれ、時に考え込んだり、時にくすくす笑ったり、ふいに本を(タブレットを?)置いて窓の外を眺めたくなったり、写真以外の色んな感情が渦巻きます。
当然、カメラを持って外に出たくもなるけれど、今はまだその時じゃない。
またいつか何の憂いもなく出かけられるようになった時にジャンプできるよう、しゃがんで足のばねを貯めているような感じ。
そういえば、先生もあとがきで書いていた。
写真は、カメラを持っていない時にも上達します。理屈っぽくなる必要はないけど、少し自分ならではの言葉をもって、考え事をすることもいいんじゃないかと思うわけです。
(「写真する話・大磯便り 其の三」 あとがき より引用)
「写真を上手に撮れる=カメラや撮影技法に詳しくなる」とか、「とにかく枚数を撮る。場数を踏む。そのうち感覚が身につく⇒撮らないと身につかない」とばかり思いがち。
それは当然の大前提として、それ以前にいかに自分の人生を豊かに過ごすか、が大事なのかなぁと、このエッセイを読むと実感します。
地元・大磯のこと、自宅の庭に顔を出す半野良の猫ちゃんのこと、たまに作る美味しそうなお料理のこと、奥様とのほほえましいエピソードなど、本編の半分は日常のヒトコマ。
でもなぜか本格的な写真の話を読んだときと同じ位、やっぱり写真をとりたくなるんですよね(笑)。
日々の生活、何気なく流れる時間に、感じる感情。それを写真に載せたら(いや、無意識に表れるのか)、どんな写真になるんだろうという好奇心かな。
つくづく、写真は技術力と人間力の総合芸術で、小澤先生の写真の凄さは人間の凄さなんだと思わされるエッセイです。
読むと必ずお腹がすく「別館 カメラマンズキッチン」
「大磯便り」シリーズのスピンオフとして、先生が作る料理のオリジナルレシピや想い、そして料理写真がつまったフォトエッセイ「カメラマンズキッチン」も同時に出版されています。
レシピも食材の歴史も、料理を作った時の思い出も綯い交ぜに、一編の料理小説を読んでいるような楽しさ。
そして、エピソードの合間にさりげなくも極上の写真。
お料理を美味しそうに撮るには、テクニックだけじゃなくて、「美味しい!」体験と瞬間を沢山味わうことなんだろうなぁ。私が料理写真がすこぶる苦手なのは、美味しい物を食べてないせいか・・・。
単に料理の完成写真だけじゃなく、食材を切っていく過程やピザ窯の中を覗く写真もあって、いやもう、腹空くなぁ!!!
ふだんカメラに興味がなくても、美味しい料理が好きな人にはぜひ読んでもらいたい。
写真も文章もすごくて、料理までって反則だぁ。
うちでも撮ろう~Shooting On The Inside
この「写真する話 大磯便り」シリーズ、Kindle Unlimited だと全巻読み放題に入っているので、値段気にせず一気読みできるし、Unlimited入っていない人も、無料体験期間を利用して、まずはお試しに1冊読んでみるのもおすすめ。
ちなみに、単品購入したい人は、5/25~6/7の間、「STAY HOME セール」で全巻半額なので、買うなら今。
例えば、今もブームが続く、星野源の「うちで踊ろう」動画。
英語の副題「 Dancing On The Inside」が表すように、「おうちで・・・」というだけでなく、外に出なくてはいけなかった人たちも「自分の内なる心が躍る」ことをしてほしいという意味があることが素敵。
外出自粛は確かにつまらないし、やりたいこともできなかったけど、こういう先達のフォトエッセイを読んで沢山インプットしたり、ふだんとは違う時間軸で生きてみたりすることで、いつもと違う写真が撮りたくなりました。
ってか、どこにいても、心の中すら写真は撮れるなって。
今後の続刊も楽しみです。
そしてまた大磯での先生の個展を見に行った時に、ギャラリーのカウンターで、「エンディングノートってのはさぁ・・・」とか写真以外の話で盛り上がる日を待ちわびながら。
⇒Kindle Unlimited の無料体験は30日間
⇒「写真する話 大磯便り」シリーズ(単品購入可能)