写真撮影はほんの趣味だけど、時々フォトコンテストやカメラメーカーなどの展示公募に応募している。
先日も某写真展に組写真を展示してもらい、とても幸せな時間を過ごしたのだけれど、正直、展示作品が「イメージよりちょっと暗いかも・・・」と若干の違和感を感じたことがあった。
作品はデータ提出で、プリントと額装はプロの手による完璧な仕上がりなのに、一体何がどうしてこうなった?
その謎を解くカギは、どうやら私が使っているPCディスプレイにあったようだ。
周囲の写真仲間や知り合いのプロカメラマン方からは、「ちゃんとしたディスプレイを使わなきゃだめだよ」と言われたことはあるが、自分のデスクトップPCも十分キレイだし・・と、今まで真剣に導入を考えたことはなかった。
今回レビューズ経由で、念願のフォトグラファー向けのカラーマネージメントディスプレイ「BenQ SW2700PT」のモニター機会を頂いたので、早速使ってみることに。
結果、その違いに愕然とし必要性を痛感した後悔と反省のレポートをお届けする。
【現状の悩み】カメラ、PC、プリント・・すべての色が違う!どれがほんと?
まず現状の私。写真を撮って、カメラでプレビューして、いいのが撮れたなと思っても、家のPCで見た時とプリント時のそれぞれの色が全く違う。
まぁ、カメラとPCは画面のサイズも違うし、雰囲気の確認でOKとしても、PCでのレタッチ仕上げでイメージを追い込み、さて印刷という段になると、出力物はたいてい濃すぎたり暗すぎたりするのが困る。
フォトコンの提出がプリントだったりすると、レタッチで多少オーバーに値をふって、むりやりイメージに近づけるまで何回もプリントしながら微調整する始末。
紙なのか、プリンタの性能なのかと悩んでいたこともあったけど、どうやらそれは見当違いだったことが、この後よーくわかった。
【借りてみた】BenQ カラーマネージメントディスプレイ SW2700PT の概要
今回お借りした「SW2700PT」は27インチディスプレイ。普段使っているのは22インチの一体型デスクトップPCなので、最初は「でかっ」と思ったが、遮光フードをつけて実際に画面を見てみると、高解像度(2560×1440)ですばらしく精密・精彩な画像なのに、じっと見てても目も疲れず、全く圧迫感がない。
ただただ、その色の豊かさにほれぼれした。
ゴツさの割には、HDMIケーブル一本でつながる簡単接続で、ノートPCとでも気軽に設置できる。
画面の後ろにモニタを支えるスタンドが付き、これが高さや角度の調整をとてもスムーズに運ぶ要の部分。重いものを支える割にスマートなので、壁から15cm位で設置できる。
遮光フードをつけた場合、壁から前端までの位置は約30cm。
高さはモニタの両側を持ち、少し力を入れればすっと下へ下がるし、モニタの下からちょんと持ち上げると上に上がる。
角度の調整と同じ感覚で、画面の縦横も簡単にくるっと動かせるのも嬉しい。
これまで横長モニタの短辺分でしか縦写真を見ることがなかったので、この迫力で見るとなかなかの感動。縦写真の作品展示を控えている場合、とても参考になるだろう。
便利なのは、標準装備のOSDコントローラー。
通常、カラーモニターの各種設定は本体横などについているボタンで行うが、このコントローラーをつなぐと、メニュー選択が手元で操作でき、ボタンによく使うカラーモード(sRGBやAdobe RGBの切り替え、モノクロなど)を割り当てると、ワンクリックで画面の色が切り替わり、簡単に色比較ができる。
特にモノクロモードなどは、レタッチソフトを起動しなくてもその場でモノクロ表示できるので、フォトビューアーで見て、どの写真をモノクロにしようか決めたり、モノクロで見ると意外にカッコいい!などの新しい発見があって、とても便利だった。
あと、高解像度で嬉しいのは画のキレイさだけでなく、ワークスペースの広さもある。
(写真上:SW2700PT、写真下:自宅PC(画面解像度:1920×1080))
レタッチをするAdobe Lightroomのライブラリ画面のサムネイル数がまるで違う!
写真選びや複数選択の指示などの効率が段違いだ。
【使ってみた】高解像度と色の豊かさで、自分の写真のあらが見えすぎて恥ずかしい!
SW2700PTがキレイなのはわかった。では、今までと何がどう違うのか。
SW2700PTの色域や色の種類が段違いなのは当然ながら、微妙なグラデーションやノイズまでリアルに再現され、それゆえに、これまでの自分の写真のピントの甘さ、レタッチのいい加減さ(やりすぎ)があからさまに露出してしまったのだ!
私は今までこれをよしとしてきたのかと思うと、「ないわ・・・自分」と机の下にもぐりたかった。いや、一回もぐった。マジで。
以前は花びらの末端の陰影や繊細なグラデーションまではっきりと見せるために、レタッチでコントラストや明瞭度を上げてきたような写真も、SW2700PTだと最初から見えているので、レタッチをやりすぎるようなことはない。
ただでさえ甘いピントが、拡大でこんなにはっきり突きつけられると、もう恥ずかしくて消えたい。
自分が現在使っているパソコン達と同じ写真を写して並べてみるとその違いは顕著。
私の仕上げたかったイメージは、左側のデスクトップPCだとすると、奥のSW2700PTは、少し白トビしていることがわかる。
要するに、最近の多くの市販PC画面は、キラキラと光沢があり彩度が高く、最初からとてもキレイに見えるが、その画面で見て暗いと思う部分を明るく持ち上げると、実はデータ的に正しい色ではなくなり、白トビさせすぎることになる。
これでは、データとして正しい色で出そうとするプリントは違う色になるわけだ。
【実験してみた】過去のレタッチをやり直して正しい色を取り戻した驚きの結果
というわけで、過去レタッチした作品の中で、印刷に違和感を感じたものを、SW2700PTで見ながら再レタッチしてみたら、どう変わるのかを実験してみた。
フリーではその時の気分で変わってしまうので、自分のPCに元作品を写しておき、その色とSW2700PTができるだけ同じ色になるようにレタッチして書き出し、それぞれを同環境で再出力してみた結果が以下の写真。
(写真左:元作品、写真右がSW2700PTを使った再レタッチ)
どちらも、自分の仕上げたかったイメージは右の明るい方であり、実際にほぼイメージ通りのプリントもできた。
過去のレタッチでは、陰影をつけるためにRAWファイルから少し暗く彩度を落とす仕上げをしているものだが、自分のPC画面が元来明るすぎたため、レタッチで落としすぎて、データとしては本来の色より暗く汚くなっていたのだ。
これで、写真展での黒い展示にようやく合点がいった。無意識に私の腹黒さがにじみ出たせいかと思っていたが、そんなデータを送っていてはそりゃ黒くなるわな。
【まとめ】これからの写真機材としての最重要アイテム
今回のモニターを通して痛感したのは、写真・動画を楽しむならまず視聴環境を整えなければいけないということ。
自分で楽しみ、見ているだけならそんなに影響はないかもしれないけど、「これいいでしょ!」とSNSに公開しても、相手にとっては「うーん・・」かもしれない。
プリントや写真展、さらにはフォトコン応募と進みたくなった場合、これは大問題だ。
私も今まで何度となくフォトコンに応募し、ことごとく落選してきたが、写真の未熟さももちろんのことながら、自分の意図しない色やイメージのデータで審査されてきたのはとても悔しいこと。
しっかりとしたコンテストになればなるほど、審査には適正なキャリブレーションがなされたカラーマネジメントディスプレイで見られることは必至なので、まずはそこの最低ラインをあわせなければ意味がない。
だとすれば、いいボディ、いいレンズ、風光明媚な風景を求める旅にお金をかけるよりも、まずはこういうディスプレイに投資するのが先決なのではないだろうかと思う。
また、私自身そろそろパソコンの買い替え時期を迎えていて、いつも迷うのがノートかデスクトップかの選択。
これまでは仕事も写真編集もしやすい、とにかく大きなディスプレイのデスクトップを選択してきた。でもブロガーとしての取材や外出先での執筆などに、持ち歩けるノートPCも欲しい・・・。
このジレンマを解決する手段として、レタッチソフトが十分に動くスペックのノートPC+大型カラーマネジメントディスプレイで実現できるかもしれない。
今回のSW2700PTはカラーマネジメントディスプレイの中では、かなりコスパがいい(ハードウェアキャリブレーションができて遮光フード標準装備で10万以下はなかなかない)ので、ノートPCとセットしてもそんなに価格に大差はないかも。
写真編集以外にも、ウェブサーフィンや事務作業などに合わせてブルーライト軽減モードもあり、長時間のパソコン作業にも目が疲れない仕様なので、今後の我が家の予算稟議で優先順位が赤丸急上昇になるのは間違いない。
★ BenQ 27型カラーマネージメントディスプレイ「SW2700PT」 製品詳細ページ
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