テレワーク生活もそろそろ5か月目に突入。
こんな長丁場になるとは予想外だったので、会社に置いてきたお気に入りのクッションとブランケットが恋しくなってきた。
いつ帰れるのか。それとも帰れないのか。
先はまだ見えない。誰にも。

「新しい生活様式 New Normal」に体は慣れてきたのか?と問われれば、そうだとも言えるしそうでもないとも言える。

起きて、食べて、仕事して、食べて、寝て、また仕事する。
やることは、前とそんなに変わらない。

通勤がなくなって楽になったと喜んだ1か月目、
明らかについてないはずのところにつまめるほどの肉に絶望した2か月目、
まぁいっか、と仕事中にYouTubeやテレビをBGVにし始めた3か月目、
宅配便の受け取りが重要な任務になりつつある4か月目。

マスクや消毒液は簡単に手に入るようになったのに、この狭い部屋から出ることはなかなか困難になっていて、4月以降、家族以外に対面で会話したのは、機種変更に出かけた携帯電話ショップのお姉さんただ一人。

週1回出かけるスーパーの店員さんと「レジ袋は?」「いりません」と言い合うほかは。

 

とはいえ、人に会えない、外に出られない生活もつまらなくもないし、特段苦痛でもない。
面倒くさくて今までやってこなかったこと、こんな時期だから始まったことを色々体験するようになったから。

例えば、「PayPay 送金」

しばらく会えない友達に立て替えてもらったお金を払うのに、初めて「PayPay残高を送る」機能を使ってみた。
「PayPay」を起動するのは、狂乱の100億円キャンペーンが終わって以来だ。

受け取る相手もネットショッピングに使う程度で、お互い送金デビュー。

「ナニコレ、すごいね!」「手数料とか要らないんだ!」「今の子供、これで小遣いもらうらしいよ。」「マジでか」と、今更な文明の進化にしばらくLINEが止まらなかった。

この後も偶然別件でPayPayでお金を受け取ることがあり、「受け取る」ボタンを押したそばから、残高がぼふっと増えて、ちょっと震えた。

今までなら、こんなお金やモノをやり取りをするのを口実にちょっとお茶でもして、肝心の受け渡しも忘れて話にふけるのがいいんだろうけど、これはこれで不思議とつながっている気がした。

 

例えば、「オンライン配信ライブ」

星野源ソロデビュー10周年記念『Gen Hoshino’s 10th Anniversary Concert “Gratitude”』は、彼が10年前にソロ初ライブを行った同じ日同じ場所(6月23日渋谷クラブクアトロ)から送るセッションライブ。

視聴パスは紙チケット付き(みんなが最前列)も発売され、当日を待つ雰囲気を俄然盛り上げる。
配信開始1時間前から専用URLではバンドメンバーが選曲したBGMが流れ、その間に飲み物やつまみを用意したり、トイレに行っておいたり、ソワソワしながら席に着くのは、実際のライブ会場での行動そのもの。

スタートと同時に、自主的に「客電」をOFF、携帯電話もサイレントモードへ。
映像もエントランスを入る所から始まり、グッズ売り場も設営されていたり(実際はネット販売)と、もう気分はすっかりクアトロ。

そこからの2時間は、まぁ、もう夢の時間。
アーカイブも1週間残り、当日見られない人も後から何度でも味わえるし、評判を聞きつけた人がその間に追加購入もできて、祭りの熱と余韻はしばらく続いた。

 

そして、『TATSURO YAMASHITA SUPER STREAMING』。

過去に『シアター・ライヴ PERFORMANCE 1984-2012』を期間限定で劇場公開した以外は、ライブの動画やDVD商品化は絶対にしない山下達郎の過去名演がネット配信されるのはそれだけで驚きだった。

そのレア度は、「動く山下達郎が見られる」との見出しだけでネット記事が並ぶほどの大事件。

京都の老舗ライブハウス「拾得」でのアコースティックライブから、千葉・袖ケ浦海浜公園で雨の中で行われた『氣志團万博』の伝説プレイまで、両極端な環境でのライブを、高音質動画配信サービス『MUSIC/SLASH』用に最適なリミックスをし直すこだわり。

それを見届けなくて何とする。

こちらは星野源と真逆で、アーカイブも追加配信もない一発配信。まさにライブ!

通信環境が悪くて止まっちゃいましたでは済まされないので、チケットを買う前にテスト配信画像で画質と音質のチェックは入念に。
我が家で一番スペックが高いPC、HDMIケーブルを厳選。
本当ならそれを映すテレビ、サウンドバーも揃えたいところだがそれは断念・・・。このどさくさで新調した人多いと思う(笑)。

19時開場(ログイン)20時開演(配信スタート)合わせて夕食をマッハで済ませて、機材の最終チェック。

前回の星野源ライブでは、スタート直前にログインしようとするとアクセス集中で入れないというトラブル続出だったそう。
ライブギリギリに会場入りすると入り口で渋滞して間にあわなくなるのは、オンラインもオフラインも同じなので、今後のライブ配信は絶対にログイン可能時刻直後から入ろうと心に決めていた。

開始5分前には予ベルがなり、注意事項の影アナウンス。
「まもなく開演となります。ここでお客様にお願いがございます・・・。

アーカイブ、追いかけ再生、巻き戻し再生は一切ございません。
ブラウザ以外のアプリケーションは全てお切りください。
視聴画面以外のタブは閉じてください。
通信環境を再度ご確認の上、早めにご着席を…」
オンラインならでは(笑)!

この日この時間に全世界で固唾をのんで画面の前に座っていた人たちが何万人いるのだろう。
画面暗転から始まった2つのライブと、“アンコール”でつけられた80年代のステージライブ。
多分、間違いなくその場所にいたらそうしていただろう拍手と喝采を無意識で送るばかりだった。

すごかった。
ドイツにいる友達もお昼そっちのけで見ていたらしく、SNSで感動を分かち合った。

 

このオンライン配信ライブというもの、従来のテレビ生中継やDVDなどのメディア販売と何が違うのか?録画もできない、生でも会えないものにお金を払う価値があるのか?と結構ネガティブな疑問を持っていた私。

でも実際に見てみたら、ライブみたいな開演までのストロークとドキドキ感、映像ならではの美味しいアングル、自宅でのリラックス感がミックスされて、ナニコレ最高か。

ライブでも、DVDでもなく、全くの別物です。
ありよりのあり、ではなくて、全然ありありのあり。

これがコロナ禍で生まれた苦肉の策だったとしても、ピンポイントでこの点においてのみ、この世の中に感謝します。

 

前髪を切って前を向く

そして。

ゲゲゲの鬼太郎よりも長い前髪になってしまって堪忍袋の緒が切れた5か月目。
実に4か月ぶりに電車とバスに乗り、行きつけの美容室へ出かけた。

「伸びた分だけ切ってください」「ですよね」と会話した。

さくっとカットだけして、帰りに夕食に腰塚のコンビーフコロッケでも買おうと思っていたけど、結果的にはパーマもかけなおし、頭がスカッとする炭酸シャンプーのオプションと店長とのカメラ談義もつけて、送り出される頃にはすでに20時を超えていた。

「ありがとうございました!」とお辞儀する店長と同じくらい長く私も頭を下げてエレベーターに乗る。

扉が閉まり顔を上げた時の頭は軽すぎて少し後ろにのけぞった。
伸びたクセ毛でよれよれになった髪の毛と頭皮に詰まっていた脂と、あと何が私の中から出て行ったのだろう。

さて、長かった梅雨もやっと明けた。
熱中症にならないように、何かまた新しいことに熱中しよう。

※写真はすべてイメージです(笑)。過去のお蔵入り写真を堀り堀りしてみました。