前回記事からの続き。

控室代わりの管理棟ロビーから一歩踏み出すと、確かに外は闇だった。
ヘッドライトをホントに頭に着けると上向き過ぎて、他の撮影者の迷惑になりそうだったので、首にかけて弱めに足元を照らして、下見したポイントに何とか到着してライトOFF。
手探りで三脚を立て、メインカメラの SONY α7IIIを装着。三脚は新品だったから練習してきて心から良かった・・。
カメラの設定時にまた一瞬ライトつけて、後はまた暗闇に紛れる。

PETZL(ペツル)TIKKA E93 は、facebookで写真家の小澤忠恭先生に教わって以来愛用中のライト。
赤色灯もあるし、軽いし、明るさもちょうどいい。

さて、やるかな! 思えば、星空はレクチャー付きの撮影ツアー経験数度のみで、正直単独で撮影するのはほぼ初めて。
私の無謀さも外にも負けず相当闇が深いのだった。

※これ以降の写真は、通常は立入禁止エリアです。今回特別に撮影許可をいただいております。
※EXIF情報付きの写真は、flickrにてオリジナルサイズを表示できます

想定外のハプニングも楽しもう。星とアンテナがそこにあるのだから。

20:30
目も暗さにだいぶ慣れ、見上げれば本当にすごい数の星空にしばし茫然。
もうぼーっと見てるだけでも満足なんだけど(笑)、一応「撮影会」だし課題提出もあるので頑張ろう。

当然だけど、カメラの液晶を見ても真っ暗、実際に長秒露光しないとどんな絵が撮れるのかわからないので、一枚撮って位置確認し、それを元に三脚やカメラの向きで微調整、場所動いたらまたピント微調整して、ホワイトバランスも・・・なんてやってたら、1時間いても何十枚も撮れるものじゃないんだね。

誰だ、5時間で夜が長いなんて言ったの(←このバカだよ

 

最初のポイントは昼間見た「こだま」(byもののけ姫)のような白くて小さいヘリオグラフ群。

国立天文台 野辺山 第4回星空撮影会

星空バックのシルエットになると、昔話の笠地蔵みたい。国立天文台 野辺山 第4回星空撮影会

この日は飛行機だけじゃなくて、かなりの数の流れ星が見られたので、何となく地蔵と星に手を合わせておきました(信じるものは救われる)。

畑向こうに巨大な45m電波望遠鏡を見渡せる絶好の場所ながら、至近距離のヘリオちゃんを溺愛中。
ハグは理性で止めました。このままだとひたすら暗い写真を撮り続けそうだったので、次のポイントへ移動

21:00
タイムラプスで仕掛けたRX100M4を新たなポイントに移動しつつ、メインカメラのα7IIIは10mミリ波干渉計近くへ。

国立天文台 野辺山 第4回星空撮影会

何か天から受信しているかのようにアンテナの先が光って、暗闇に浮かび上がる古ぼけたアンテナ。
萌えます。これですよねぇ。このイベントの醍醐味、夜のアンテナ。星なんてどうでも(←よくありません!)
鉄萌えなので、星空の比率がだいぶおかしいことになっている・・。

22:00
今回来てわかったのは、天文台=観測に適した空気と環境=暗くて星空撮影に最適というわけではないということ。
野辺山観測所周辺は案外街が近く(JR駅まで数キロ)、大型トラクターで夜間農作業もガンガン行われ、いつまでたっても明るいということ。
思えば、観測は宇宙の電波を受信・解析しているのであって星がキレイに見える必要はないからなぁ。

国立天文台 野辺山 第4回星空撮影会

それでもこの頃になると、空も周辺の明かりもだいぶ暗くなり、夜空の黒さが一層星を引き立てるように。
アンテナも赤く染まって幻想的・・・って、うん?赤く??

さっきまで漆黒の闇に包まれていた観測所がいつの間にか明るいオレンジ色に照らされている。
観測中の45m電波望遠鏡のライトが点灯したのだ。

【ライト点灯前と点灯後の周辺比較】

望遠鏡が巨大ならそれを照らすライトも巨大。確かに明るいとは言え、肉眼では少し歩きやすくなっただけで暗いことには変わりないと思っていたら、写真を撮るとまぁ明るいこと!

それが少し残念だと思った人もいるようだけど、このライトアップがアクセントになるように、撮った方が楽しいんじゃないかと思い、あえてアンテナにキレイに光が反射するアングルを探してみることに。

国立天文台 野辺山 第4回星空撮影会

 

国立天文台 野辺山 第4回星空撮影会

現像後に「何これ!コロニー落としっぽい!」と喜んだこの日の専属運転手は、この頃ホテルで「インデペンデンスデイ」を見ていたらしい。そういえばその円盤にも似てるよね・・。

国立天文台 野辺山 第4回星空撮影会

こうなってくると、私的には「この明かりがレールをキレイに照らすポイント」を探すのに全力を尽してしまうので、お星さんは「こっちも見てや!」とばかり流れ星を連発。おかげでいいコラボレーションが撮れました。

望遠鏡の明かりについては、実際に観測運用中につき、点灯したことは全く問題はありません。
それどころか、管理棟の明かりが漏れないようにブラインドを下げ、室内も最低限の明るさにして、トイレの小窓でさえ目張りをしてくださるなど、この日のスタッフの涙ぐましい気遣いには本当に感謝しています。

気がつけば、23:30の終了時刻を告げる声が。まわりたかったポイントがまだまだあったけど仕方ない。
その直前に電波望遠鏡のライトも消え、辺りが本当の漆黒となったころ、撮影会は終了しました。
あんなに暑かった昼間に比べて、夜間に長時間外にいると、薄いダウンジャケットがちょうどよく、温かいコーヒーが飲みたくなりました。

24:00
半ば放心状態で観測所を後にして、一般見学者駐車場に迎えに来ていた専属運転手旦那と合流。
そしてもう一人。

カメラ仲間のクマデジタルさんとは、その日の朝にメッセンジャーで「今日は天気が良くてよかったね」「くれば?」「いやいやいやww」「外で撮れるし」「いやいやいやいやww」「宿取れるし」と会話。

で、来てました!!!フットワークすばら!
そして、中の人よりすごい写真撮ってました・・・。星撮りってやっぱり、フットワークと場数なのね。

SAIKA先生含め4人で夜更けのコンビニでしばし語らい、星空撮影会オールアップです。
先生レポ:雨中より宇宙の方が難しかった。国立天文台野辺山観測所 第4回星空撮影会 1

今回はこん棒と布の服でとりあえず宿の近くで経験値を積む修行ってことで撮れ高の少なさはご容赦願いたい。
次回の機会があれば、もうちょっと武器防具を揃えて、ラスボス目指したいと思います!

連載?はもう少し続く。
次回予告・今回初挑戦となったタイムラプスとの格闘は・・・